漆のQ&A

漆って?

ウルシの木の樹液が原料であることは、ご存知の方が多いと思います。しかし、樹液そのままではなく、クロメなどのいろいろな処理を施して、より扱いやすく性能を高める工夫がされています。また、色素顔料を混ぜて、色彩も豊富にすることができます。

漆というと、黒を背景に金色の蒔絵が定番と思われやすいのですが、私達のいる香川県では、江戸時代から彫漆、蒟醤などの技法で、さまざまな色彩のハーモニーを楽しむ漆工芸が発達してきました。色彩と彫り、この二つは香川漆芸の特色です。

どうして固まるの?

乾くというので、ペンキが乾くのと一緒のように感じられますが、酵素反応によって分子が重合して、非常に強い結合組織を作り、硬化します。

酵素反応は命のキホン、漆は固まることで、新たな命に変わるとも言えるでしょう。

適度な温度と湿気が必要です。漆文化が、天然に漆が固まることのできる環境のある地域で発達したのには、こうした理由があるのです。

漆の産地

ウルシの木は、日本列島を含む東アジアに広く自生していました。現在のところ、日本で発掘された漆が世界最古(一万二千年前)ということで、漆の文化は日本でも自然に発生していったものと思われます。江戸時代には、ウルシの木は広く植林され、各地の産業基盤となります。漆塗りとして樹液を利用する以外に、種をロウソクの原料とするなど生活に密接した重要な資源だったのです。

現在、中国からの輸入がほとんどになってしまい、国内生産される漆は非常に貴重なものとなりました。国産漆を再活性化しようという動きもあります。ウルシの木が少ないだけでなく、木から樹液を採取する作業が人手に頼るため、生産量を増やすことはなかなか困難を伴うようです。

一本のウルシの木からとれる樹液は、数百cc。樹液を採取されると、ウルシは一生を終えます。よく増えてくれる木なので、命は続いているのですが、樹液はとても貴重なものなのですね。

漆器の産地

扱い方

漆って扱いにくいでしょう? とよく言われます。

でも実は漆は非常に強いんです。酸やアルカリにも耐えるんですよ。漆の食器は、使用後は早めに、何に使ったかに応じた洗い方をして、水気をふきとっておくことで、いつまでもきれいに使うことができます。

漆の天敵

天敵は紫外線、日焼けによってツヤが失われてしまいます。私達の家は、床に漆を塗ってあるのですが、同じ時期に塗っていても、窓辺にそったところと日のあたらないところではまったく違ってきています。

そして摩擦、床の漆は人の動きの多いところから木目がはっきりしてきます。

殺菌作用

漆のお椀にいれた水は腐敗が遅くなります。漆には殺菌作用があるのですね。漆の花器はお花を長持ちさせてくれるようです。

漆芸の技法

漆の技法には、蒔絵、沈金など塗りと研ぎ中心とするものと、蒟醤、彫漆などの塗りや研ぎの基礎の上に彫りを行うものがあります。同じ漆作品でもまったく違った表現になるのですね。特に色彩の豊富さは蒟醤、彫漆の特徴です。

香川漆芸の特徴

香川県で漆芸が盛んになったのは、江戸時代の後期、高松松平藩の強力なバックアップがあったためです。藩主の生活、治世、対外交流など広い範囲に漆芸品が用いられ、今にいたる漆芸の基礎が築かれました。玉楮象谷の精緻な蒟醤、彫漆作品は、高松市美術館の常設展でみることができます。香川県立漆芸研究所は、石川県輪島の漆芸研究所とならぶ全国に二つしかない漆芸に特化した研究所です。

音丸耕堂